華やか、かわいい、艶麗、儚い。様々な言葉で語られ、千変万化し咲き誇る姿に私たちは心を奪われる。古くから装飾品などに描かれ、詩の中で読まれ、そして舞う。現代でも多種多様な場面で目にし、耳にするのも永久に日本の美意識を写し鏡にしているからであろう。織物の紋様においても桜は多彩に表現されてきているが、神機に使う木材としても桜の木が使われている歴史がある。この日本の象徴として世界に誇る桜と日本の最高峰の美として形容される「錦」を重ね合わせ、錦上に、そして現代に息づくものとして表現した紋様である。
龍 村 周 述